心身の成長を示した
神戸新聞杯を制したメイショウタバル(c)netkeiba
鮮やかな逃げ切り勝ちを決めたメイショウタバルは、春の「皐月賞17着→日本ダービー(出走取り消し)」。2着ジューンテイクは「日本ダービー10着」。3着したショウナンラプンタは「日本ダービー15着」。
1週前16日の「セントライト記念」を制したアーバンシックは「皐月賞4着→日本ダービー11着」。2着コスモキュランダは「皐月賞2着→日本ダービー6着」。3着エコロヴァルツは「皐月賞7着→日本ダービー8着」。
2つの菊花賞トライアルは、春の頂点の日本ダービーに出走することができた馬ばかりだった。もちろん秋になって「期待の素質が開花したのだ」とすることは可能で、夏を乗り越えて心身両面の成長があったのは明らかでも、ひょっとすると東京2400mの日本ダービーでは結果が出ていなかった馬ばかりなので、ホントに菊花賞の3000mで期待してもいいのだろうか、という厳しい見方も生じた。
と同時に、早くから期待されていた春のクラシック出走組に追いついた「夏の上がり馬」はほとんどいなかったことにもなった。日本ダービー馬ダノンデサイルは菊花賞に出走予定だが、2着ジャスティンミラノは天皇賞(秋)に向かい、3着シンエンペラーは凱旋門賞予定。4着サンライズアースは決して順調ではなく、5着レガレイラはエリザベス女王杯予定とされる。例年以上に難しい菊花賞になりそうだ。
メイショウタバル(父ゴールドシップ)は、明らかに心身両面で変わってきた。今回の逃げ切りは「前半60秒0-(12秒0)-後半59秒8」=2分11秒8という素晴らしいバランスで、行きたがっていなかった。このままテンションが高ぶることなく、また春のように脚元のアクシデントに見舞われることなく菊花賞に出走して欲しい。
父ゴールドシップは2012年の菊花賞馬。その母の父メジロマックイーンは1990年の菊花賞馬。祖母の父ダンスインザダークは1996年の菊花賞馬。メイショウタバルが今回と同じようにバランスの取れた流れを作ってくれるとき、3000mの菊花賞らしいスタミナと底力の勝負になるはずだ。神戸新聞杯組では、2着ジューンテイク(父キズナ)も、3着ショウナンラプンタ(父キズナ)も菊花賞挑戦を表明している。
セントライト記念組では、勝ったアーバンシック(父スワーヴリチャード)、2着コスモキュランダ(父アルアイン)、3着エコロヴァルツも菊花賞に挑戦の予定がある。
『オールカマー』は、馬場状態もコースも異なるのに、直前の神戸新聞杯とまったく同じ2分11秒8の決着だった。ただし、こちらは「前半61秒0-(12秒4)-後半58秒4」のスローに近い全体バランス。勝ったレーベンスティール(父リアルスティール)は前半に少し行きたがり、またこういうペースなので馬群が固まることになった4コーナー手前から直線の坂にかけて、周囲を囲まれるきわめて厳しい展開になった。これを狭いインから抜け出した鞍上C.ルメール騎手の極上の騎乗も鮮やかだったが、差し切ったレーベンスティール自身の充実も光った。
大きなところを勝ちたいとする陣営の選ぶ次走は「天皇賞(秋)」でほぼ間違いない。ベストの距離は2000m前後であるのは衆目一致。C.ルメール騎手は「GIレベルにいけます」と強気だ。父リアルスティールも、その父ディープインパクトも、母の父トウカイテイオーも、その父シンボリルドルフも天皇賞(秋)だけは勝っていない。天皇賞(秋)制覇にかかる期待は大きい。