今後の成長にさらなる期待
レパードSを制したミッキーファイト(撮影:下野雄規)
新体系となったダート三冠最終戦のジャパンダートクラシック(10月2日・大井2000m)への優先出走権を獲得したのは、断然の1番人気に支持された2勝馬ミッキーファイト(父ドレフォン)だった。その一戦に出走を予定しているのは、ケンタッキーダービー微差3着のフォーエバーヤング、東京ダービーを独走したラムジェット…など。
ラムジェットには、前走の「ユニコーンS」で0秒7差の3着に負けているので、これで有力馬の1頭に加わったとはいえないが、まだ今回が4走目。明らかに成長し、パワーアップしているのは間違いない。
前回、内で馬群に包まれていたので1番枠が大きな死角だったが、好スタートで先行態勢を取ると、向正面に入り馬群がバラけるとすかさず外に誘導した戸崎圭太騎手の好騎乗もあって、途中からは危なげなかった。
ブルーサン(父モーニン)が先導したレース全体のペースは、「前半1000m通過61秒0-上がり50秒2-37秒8」=1分51秒2。良馬場ではごく標準の平均ペースで、勝ち時計も速かったわけではないが、最後の2ハロンは「12秒4-12秒2」。余力があったという完勝ではないものの、ダート戦でこういう最後の加速ラップはめったにない。再三内にささり気味になるなど、左回りを苦にしたのか、まだ成長途上のレース運びを考えると、この後さらに良くなる成長余地を感じさせた。上がりは最速タイの37秒6だった。
2着に食い下がったサトノフェニックス(父ヘニーヒューズ)は、今回の対戦相手の中では4頭だけのオープン格。交流レース、サウジダービー挑戦などの経験を持つ期待馬だったことを考慮すると(前出フォーエバーヤングには2回対戦しともに大敗ではあるが)、今回は11番人気とはいえ、接戦に持ち込んだサトノフェニックスの巻き返しを評価するのが正しい見解といえるかもしれない。
8月4日現在、種牡馬ヘニーヒューズ(USA)とドレフォン(USA)は、今年の全国ダート戦限定種牡馬ランキングで、接戦の2位、3位を争っている。ヘニーヒューズ産駒の勝ち星も、ドレフォンのそれも、さらには現在1位のシニスターミニスター(USA)産駒の勝利も、今年はここまでのところダート路線の体系の改革に合わせたかのように、例年以上に極端にダート戦に集中している。
2番人気のソニックスター(父Into Mischiefイントゥミスチーフ)は、レース前半から楽な追走ではなく、4コーナーで追い上げに入ったが直線は失速。「暑さの影響としか考えられない(川田騎手)」と振り返る9着にとどまってしまった。陣営が不安視していたように、コーナー4回の左回り1800mが合わなかったことも関係したかもしれない。
3連勝中で3番人気のジーサイクロン(父サンダースノー)も前半で置かれる形になり、最後の直線は脚を伸ばして上がり最速タイの37秒6だったが、初の左回りのためか道中はスムーズな追走ではなかった。
3着ミッキークレスト(父ジャスタウェイ)は、まだ3戦のキャリアだったためか、前半の位置取りが悪くなってしまった。初の左回りでもコーナーはスムーズで、直線の伸び脚は悪くなかった。これで【2-0-2-0】。大きな成長が期待できる。
上がり37秒7で差を詰めて5着のハビレ(父ヘニーヒューズ)は、前3戦「京浜盃3着、羽田盃4着、東京ダービー5着」。交流戦で大きな差があったので比較の対象にはしにくいが、東京ダービー(大井ダート2000m)を圧勝したラムジェットと2秒4差の力関係は、あまり変わっていないかもしれない。すると、0秒9差だったレパードSは(ダートの違いは大きいが)、必ずしもハイレベルではないとする見方も生じたりもする。