七夕賞を制したレッドラディエンスの今後にも期待
プロキオンSを制したヤマニンウルス(C)netkeiba
福島の「七夕賞」を制したレッドラディエンスは、ディープインパクトの残した最晩年に近い2019年生まれの5歳牡馬。2歳夏のデビュー戦こそ6着(0秒4差)だったが、そのあとは初重賞挑戦の今回の勝利を含め【5-5-1-0】。休み休みのスケジュールながら、すべて馬券圏内を確保しているからすばらしい。
サマー2000シリーズのチャンピオンを狙って9月1日の「新潟記念」に出走の予定がある。さらにパワーアップして登場してくれるはずだ。
レッドラディエンスの出走日程も周到だが、「プロキオンS」を圧勝した4歳牡馬ヤマニンウルス(父ジャスタウェイ)は強烈だった。2歳夏の小倉で2歳コースレコードのダート1700m「1分44秒3」で4秒3差の大差勝ちのあと、爪の不安などを克服しながら間隔を空けつつ連戦連勝。今回、初重賞制覇を果たして5戦【5-0-0-0】となった。
今回は初めての重賞挑戦とあって、直線で気を抜かないための気合をつけるムチが2-3回入った。2戦目の1勝クラスを6馬身差で独走した際にも、真剣に走るように気合注入のムチが1回だけ使われた映像があるが、叱咤激励の懸命のムチが飛んだシーンはなく、馬なりに近い5戦全勝だからすごい。
「まだ今回が5戦目のレースですから。それで重賞をこの内容」と、武豊騎手も絶賛を惜しまず、「まだ、キ甲が抜けていないのでこれからが楽しみ(斉藤崇史調教師)」。陣営は未完成を強調している。これまでと同じように間隔をとり、12月のチャンピオンズCを目標にしているが、580キロ台の大物はさらにスケールアップするに違いない。
2着したスレイマン(父キングカメハメハ)の西村淳也騎手、2番人気で4着だったハピ(父キズナ)の菱田裕二騎手などが、そろって勝ち馬の強さを称えているから、実際のヤマニンウルスの迫力はレースを見ていたわたしたち以上なのだろう。
3代母ワンオブアクライン(USA)は、オークリーフS(ダートG1)の勝ち馬。4代母Barely Evenベアリーイーヴン(USA 30戦17勝)のファミリーは以前から日本に馴染みがあり、大物とされた5戦3勝のビッグバイアモン、2003年の三冠牝馬スティルインラブの兄妹、2007年のオークス馬ローブデコルテ、のちに有馬記念のゴールドアクターの母の父に登場したキョウワアリシバなどが知られる。
種牡馬ジャスタウェイ(父ハーツクライ)の送ったこれまでの重賞勝ち馬には、GI級勝ち馬テオレーマ(重賞3勝)、マスターフェンサー(重賞4勝)、ヴェルテックス、そしてプロキオンSのヤマニンウルス。ダート重賞の勝ち馬が少なくない。ヤマニンウルスは期待をさらに上回るような大物に育って欲しい。