▲第2回も佑介騎手と武英智調教師にペプチドナイルについて伺います!(撮影:桂伸也)
競馬の魅力が詰まったペプチドナイルのストーリー
──ペプチドナイルは、とても緩い馬だそうですね。かつては、競走馬になれるかどうかというレベルだったとか。
武英 そうなんですよ。デビュー前は本当に大変でした。生まれて1カ月後くらいにオーナーと牧場に見に行って、ほぼ即決で決めていただいた馬なので、僕はもう期待しかなかったんですけどね。育成に入ったらとにかく緩くて、右のトモが使えず、育成のスタッフいわく「ものにならないかもしれません」と…。 「どうしよう。参ったな」というのが本音でしたね。そんな状態から、牧場スタッフと厩舎スタッフが頑張って作ってくれて、4歳の秋にはオープンまで行くことができて。佑介に初めて乗ってもらったのは去年の夏で、だいぶよくはなっていたけど、それでも緩かったよな?
佑介 そうですね。オープン馬のなかにも、「この馬、小さいときはものにならないと思ってたんですよ」とスタッフさんが言うような馬もたまにいるんですけど、「いやいや、言い過ぎでしょ」と思う馬がほとんどで。でも、ナイルに関しては、「本当にそうだったんだろうな」と感じましたね。オープンまで勝ち上がってきてこの緩さか…みたいな。
武英 とにかく右トモが使えなくて、当初は「3本脚で走ってる」って言われたくらいだから。走法的には最初からダートだと思っていたけど、ダートを使ったらトモが持たないだろうということで、芝のレースからスタートしてね。結局、3回目でダートを使って楽勝したんだけど、その1回で膝を骨折してしまって、やっぱりか…となった。その後も長い休みを挟みながら大事に大事に使ってきて、徐々に競走馬っぽくなってきた感じだよな。
▲OP入りの裏側は「スタッフが頑張って作ってくれて...」(撮影:桂伸也)
──そういった経過を辿った馬がGIを勝つ。ペプチドナイルの背景には、競馬の魅力が詰まっていますね。
武英 本当ですね。オーナーには最初の段階で「ほかの馬より2年くらい成長が遅いと思っていてください」とお伝えしていたんです。「ひとつ勝てば道は開けるので、6歳くらいまでは温かく見守ってください」と。
佑介 今年で6歳。