ダイワスカーレット(撮影:下野雄規)
◆偉大な記録を残しターフを去った名牝 映画『風と共に去りぬ』の主人公、スカーレット・オハラは富豪のお嬢様だった。しかし、南北戦争で何もかも失ってしまう。
ここで普通のお嬢様なら、ただ悲しみに打ちひしがれるだけだが、勝ち気な気性の彼女は違った。岩にかじりついてでも、はい上がることをを決意する。北軍に敗れ、焼け落ちた故郷の廃墟の前で奮い立つシーンは、今も脳裏に焼きついている。
そのスカーレット・オハラの名をいただいたダイワスカーレットも、やはり血筋のいいお嬢様だった。母系は日本を代表する名牝系で、兄に名馬のダイワメジャー(皐月賞)がいた。近親にも活躍馬が目白押し。生まれ育ったのも名門の社台ファームである。
だが、彼女もまた何度も挫折を味わいながら、へこたれずに強く生き、大レースで幾多の名勝負を繰り広げた。まさに名は体を表す。その生きざまはスカーレット・オハラによく似ていた。
天皇賞は本来なら牡馬がしのぎを削る大レースだが、2008年の秋、主役となったのはダイワスカーレットと、同じ牝馬のウオッカ2頭だった。壮絶な戦いを繰り広げて両者が鼻面を並べてゴールイン。数センチの差でダイワスカーレットは敗れたが、日本競馬史に残る名勝負として語り継がれている。
デビューは2歳の11月。他馬が懸命に走るなか、ダイワスカーレットは先行策から楽に抜け出して勝利した。続く中京2歳Sも、後に日本ダービー3着となる牡馬の評判馬アドマイヤオーラを退けて勝利する。ところが、3歳1月のシンザン記念はそのアドマイヤオーラに敗れて2着、続くチューリップ賞もウオッカに屈して2着に敗れてしまう。
不安を残して迎えたのが、牝馬クラシック第1弾の桜花賞であった。チューリップ賞の敗戦から、陣営はウオッカに瞬発力勝負ではかなわないと判断。早めに抜け出す戦法を取ったが、それがみごとにはまった。ウオッカの追込みを最後まで許さず、前走の雪辱を果たすとともに、兄妹によるクラシック制覇を成し遂げるのである。
続く牝馬クラシック第2弾オークスは、ライバルのウオッカが日本ダービーに向かったため(牝馬による64年ぶり日本ダービー制覇を成し遂げた)、ダイワスカーレットの勝利が確実視されていた。ところが、感冒にかかり回避を余儀なくされる。
挫折を味わったダイワスカーレットだったが、秋に入るとローズS、GIの秋華賞、エリザベス女王杯を3連勝。暮れの有馬記念は惜しくも2着に敗れたが、ライバルのウオッカにはGIで3度対戦してすべて勝っていた。これが評価され、ウオッカを抑えて最優秀3歳牝馬に選ばれた。
だが、4歳となったダイワスカーレットはまたしても挫折を味わう。ドバイ遠征を目標にしていたところ、調教中にはね上がった木片が目に当たって負傷。すべてが白紙となってしまった。しかし、そんなことではへこたれない。逆境をバネとする強さがダイワスカーレットにはあった。
続く4月の大阪杯で牡馬を破って勝利。秋の天皇賞でウオッカと壮絶な戦いを繰り広げ、暮れの有馬記念で並み居る牡馬を相手に勝利する。果敢に先行し、そのまま押し切るあっぱれな内容だった。
これが最後のレースとなったが、牝馬の有馬記念制覇は、1971年のトウメイ以来37年ぶり。通算12戦8勝、2着4回。デビューから引退まで12戦連続の連対(1、2着)は、JRA所属の牝馬では最多記録であった。
ターフのヒロインは、歴史に残る幾多の名勝負と偉大なる記録を残し、風と共に静かに去っていった。(吉沢譲治)
◆レース詳細
2008年12月28日
第53回 有馬記念(GI) 中山/芝右 2500m/天候:晴れ/芝:良
1着 ダイワスカーレット 牝4 55 安藤勝己
2着 アドマイヤモナーク 牡7 57 川田将雅
3着 エアシェイディ 牡7 57 後藤浩輝
◆競走馬のプロフィール
ダイワスカーレット(牝4)
父:アグネスタキオン
母:スカーレットブーケ
騎 手:安藤勝己
調教師:松田国英(栗東)
馬 主:大城敬三
生産牧場:社台ファーム
■2008年 有馬記念
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