◆芝・ダート・国内・海外、何でもありのオールマイティ 打っては4番のホームランバッター、守っては豪速球を投げるエースピッチャー。高校野球には二刀流の逸材が多い。野球に限らず、陸上競技、バスケットなど、何でもこなす万能の中学生、高校生はよくいる。
しかし、トップレベルが集まり、しのぎを削るプロ、オリンピック選手ともなるとそうはいかない。すべてのスポーツで一流選手になれる資質を持っていても、いつまでも二刀流、三刀流をやっていれば、みな中途半端で終わってしまう。
競馬のサラブレッドも同じだ。中学生、高校生にあたる2〜3歳の若駒期は、次は芝、次はダートと器用にこなす馬がいる。しかしクラスが上がるにつれて、二刀流は通用しなくなる。第一、芝とダートでは筋肉のつき方が違ってくる。
昔の競馬は全体のレベルが低かったから、二刀流でも十分に通用した。しかし、今はサラブレッドの質が向上し、GIレースで芝、ダートともに傑出した能力を見せる馬はまずいない。ところが、2000年代の初め、芝とダートの両GIレースで傑出した能力を見せる、常識外のオールラウンダーが現れた。アグネスデジタルだ。
1999年秋、2歳のデビュー当初から芝、ダートの二刀流だったが、芝は勝ちあぐねることが多かった。やがてダートに特化していき、2歳暮れの全日本3歳(現2歳)優駿、3歳6月の名古屋優駿、9月のユニコーンSと3つのダート重賞を制した。
この間に芝の重賞も使ったが、ニュージーランドトロフィー4歳S(現ニュージーランドトロフィー)、クリスタルCの3着が最高着順で、GIのNHKマイルCは7着に敗れている。芝で最も求められるスピードと瞬発力が、明らかに足りなかった。その一方で、ダートのGIも13着と期待を裏切っている。このあたりが能力の限界と思われたものである。
そして迎えたのが3歳の11月、芝GIのマイルチャンピオンシップだった。芝のGIIIでさえ勝ちあぐんでいたが馬が、GIで歴戦の古馬(4歳以上の馬)を相手に互角に戦えるとは思えない。13番人気の低評価でしかなかった。だが、ここでアグネスデジタルは度肝を抜く快走を見せる。信じられないことにレコードで勝利したのだ。
ところが、その後の芝は再び伸び悩んでしまう。そこでダートに活路を求めると、GIIIの日本テレビ盃、GIの南部杯を2連勝した。陣営はこれに気を良くして、2001年秋、芝GIの天皇賞に出走させる。マイルチャンピオンシップをレコードで勝ったとはいえ、その後がだらしない。距離の2000mも不安視されて4番人気どまりだった。
しかし、ここでもアグネスデジタルはあっと驚く快走を見せて勝利する。負かしたテイエムオペラオーは、この時代のトップホースだった。勢いを駆って香港に遠征し、芝GIの香港Cに出走したが、世界の強豪を相手にまたも勝利。さらに翌年2月、今度はダートGIのフェブラリーSも勝利して、GI4連勝(芝2勝、ダート2勝)を成し遂げた。
翌2003年6月の芝GI、安田記念もレコードで勝利。ダート馬だと思われていた馬が、気がつけば芝GIで2つのレコードを叩き出していたのである。芝、ダート、国内外を問わず、さまざまなジャンルで超一流の競走成績を残したアグネスデジタル。その名はオールマイティのスーパーホースとして、歴史に深く刻まれている。
あれから10年。この名馬を彷彿とさせるオールラウンダーは、いまだに現れていない。(吉沢譲治)
◆レース詳細
2000年11月19日
第17回 マイルCS(G1) 京都/芝右外 1600m/天候:晴/芝:良
1着 アグネスデジタル 牡4 55 的場均
2着 ダイタクリーヴァ 牡4 55 安藤勝己
3着 メイショウオウドウ 牡6 57 飯田祐史
◆競走馬のプロフィール
アグネスデジタル(牡4)
父:Crafty Prospector
母:Chancey Squaw
騎 手:的場均
調教師:白井寿昭(栗東)
馬 主:渡辺孝男
生産牧場:Catesby W. Clay & Peter J. Callahan
※年齢は当時の旧年齢表記
■2000年 マイルCS
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