ノースフライト
◆遅れて来たトニービンの大物 名血はいつの世も、お金のあるところへ流れていく。第2次世界大戦後、サラブレッドを育ててきたイギリスの国力が衰退。代わってアメリカが世界の主導権を握ると、サラブレッドの血統もアメリカがリードするようになった。
1980年代の終わりには日本へ向かう流れが起きた。降ってわいたバブル景気が、昔なら目の前にどんな大金を積まれても、日本に売ることのなかったパワーバランスを、大きく変えたのだ。この時代には信じられないほどの世界的な名馬、名牝、名種牡馬、良血の競走馬が日本に入っている。
ノースフライトの父トニービンが、その1頭だった。欧州伝統の大レース、凱旋門賞を勝った名馬で、現役時代に金銭トレードが成立し、引退と同時に日本にやってきた。それまで日本に入る海外の名馬は、種牡馬としては「見切り品」がほとんどだったが、バブルが「新車」の購入を可能にしたのである。
トニービンは期待にたがわず、いきなり初年度産駒からベガ(桜花賞、オークス)、ウイニングチケット(日本ダービー)を出し、春のクラシックに大旋風を巻き起こす。
ノースフライトもトニービンの初年度産駒だった。ところが、生まれつき体質が弱く、やっとのことでデビューしたのは、ベガが桜花賞を勝った3週間後。1993年5月1日のことで、もうすぐ春のクラシックが終わろうとしていた。
それでも9馬身の圧勝。続く条件戦も8馬身の圧勝で2連勝を飾る。「遅れて来たトニービンの大物」と騒がれるなか、3戦目を落として株を下げたが、続く初重賞挑戦の府中牝馬Sを鮮やかに勝利。さらにGI初挑戦のエリザベス女王杯でも、並み居る強豪と対等に戦って2着に善戦し、潜在能力がただものではないことを証明した。
その後、GIIIの阪神牝馬特別を勝ち、年が明けた1994年もGIIIの京都牝馬特別、続くGIIのマイラーズCもレコードで3連勝した。マイルのスピードと切れ味なら、一線級の牡馬と戦っても何ら見劣りしなかった。これに自信を得た陣営は、マイルGIの安田記念に照準を合わせる。
迎えた1994年5月の安田記念。門戸開放で外国産馬、海外に籍をおく外国馬が大挙して押しかけ、日本馬が劣勢に立たされていた時代だった。安田記念も外国馬に参戦が認められ、前哨戦の京王杯スプリングCは外国馬が4着までを独占していた。
その4頭が揃って安田記念に出走してきたため、ノースフライトは能力の高さを認められながらも5番人気に甘んじた。だが、後方から豪快に伸びてGI初勝利を飾った。そうそうたる外国馬を蹴散らしただけに、実に価値の高い勝利だった。
秋も短距離王のサクラバクシンオーと激闘を展開。GIIのスワンSでは2着に屈したが、続くGIのマイルチャンピオンシップは逆にサクラバクシンオーを1馬身半突き放し、春秋のマイルGI連覇を成し遂げた。これは当時としては史上2頭目の快挙である。マイルの女王の称号をいただいたノースフライトは、これを最後に引退している。
初年度産駒に新たな大物を加えたトニービンは、さらに人気が沸騰。後を追って輸入されたバブルの申し子たち、すなわちブライアンズタイム、サンデーサイレンスと御三家種牡馬を形成していく。1990年代から2000年代の日本は「名馬の時代」と言われ、外国馬に負けない日本馬が次々と誕生することになるが、それはこの御三家種牡馬がつくり出したものだった。(吉沢譲治)
◆レース詳細
1994年11月20日
第11回 マイルCS(GI) 京都/芝右 1600m/天候:晴/芝:良
1着 ノースフライト 牝5 55 角田晃一
2着 サクラバクシンオー 牡6 57 小島太
3着 フジノマッケンオー 牡4 55 武豊
◆競走馬のプロフィール
ノースフライト(牝5)
父:トニービン
母:シヤダイフライト
騎 手:角田晃一
調教師:加藤敬二(栗東)
馬 主:大北牧場
生産牧場:大北牧場
※年齢は当時の旧年齢表記
70万DL突破!伝説の名馬に挑め!
●
70万DL突破!伝説の名馬に挑め! 爽快!競馬パズルゲーム「パズルダービー」、70万DL突破!伝説の名馬に挑め!
「パズルダービー」はマッチ3形式(同じ色を3つ揃えるブロック消し)のパズルと競馬が融合し、伝説の名馬のシナリオに挑戦する競馬パズルゲームです。レースでは、ディープインパクトやオルフェーヴルなど名馬のシナリオを完全再現。競馬ファンなら感動再び、競馬を知らない方はパズルを楽しみながら、競馬の魅力を知っていただけます。
登場する名馬は700頭以上。また、週末に開催される中央競馬とのリアル連動イベントや各種キャンペーンも満載です。この機会に是非お楽しみください!