デュランダル
◆他馬をまとめて抜き去る「聖剣」の切れ味 教養がない私は、馬名に教えられることが多い。デュランダルがフランス中世の叙事詩、『ローランの歌』に登場する英雄ローランが持つ「聖剣」だとは知らなかった。その切れ味は鋭くて、敵の手に渡るのを恐れて岩に叩きつけて折ろうとしたが、逆に岩を一刀両断してしまったという。
2003年と2004年の2年連続で最優秀短距離馬に輝いたデュランダル。後方から豪快に脚を伸ばし、先行馬をまとめて抜き去る切れ味は、まさに聖剣そのものだった。
だが、デビュー当初から聖剣の切れ味が鋭かったわけではない。2001年12月、2歳の新馬戦を勝利したが、脚部不安で長期休養を余儀なくされ、8月の復帰戦が2着。その後、3連勝してオープン入りを果たしたものの、続くマイルチャンピオンシップでは10着に敗退している。
明けて2003年1月。ニューイヤーSを勝利するが、続くGIIの中山記念は9着。またも休養に入り、9月に復帰してGIIIのセントウルSに出たが、3着に敗れた。重賞の壁は厚く、ここらあたりが能力の限界のように思われたものである。
しかし父は当時、飛ぶ鳥を落とす勢いのサンデーサイレンス。この種牡馬のすごさは、重賞勝ちのない格下馬でも、いきなりGIを勝つ潜在能力を伝えることにあった。母と兄姉は短距離戦を中心に活躍しており、デュランダルの短距離向きの資質は、明らかに母系から譲り受けたものだった。だが、エンジンの性能を偉大な父から譲り受けているなら、まだ飛躍の可能性はあった。
休み明けのセントウルSで初めて騎乗し、デュランダルを3着に導いた池添謙一は、底知れぬ何かを感じ取っていたのだろう。池添の「GIのスプリンターズSに行きましょう」という進言を受けて、陣営は出走を決意する。
迎えた10月のスプリンターズSは、格下馬の気楽さもあり、最後方から直線勝負の競馬に徹した。するとデュランダルは目の覚めるような末脚を発揮。勝利目前のビリーヴをハナ差とらえ、GIII、GIIを飛び越えて、いきなりGI勝ち馬となったのである。
それがフロックでなかったことは、続く11月のマイルチャンピオンシップで証明される。前年、10着に敗れていたが、あのときとは聖剣の切れ味がまるで違っていた。ここでも後方から豪快な末脚を炸裂させ、GI2連勝を成し遂げたのである。これが評価され、2003年の最優秀短距離馬に選ばれている。
しかし、2004年になると裂蹄を発症。生まれつき蹄が薄く、レースを使いこんでいくと亀裂を生じやすかった。デュランダルの近親に共通する特徴でもあった。それでも2月のGI高松宮記念は2着。その後、長期休養からぶっつけ本番で出た10月のスプリンターズSも2着に健闘した。
迎えた11月のマイルチャンピオンシップ。展開が早かろうが遅かろうが、後方待機策は変わらない。聖剣の切れ味は、この戦法でこそ岩をも打ち砕く。確かにデュランダルは、直線に向くや最速の末脚を繰り出して2連覇を果たし、この勝利だけで2年連続の最優秀短距離馬に選ばれた。
だが、2005年になると今度は蹄葉炎に見舞われる。不治の病と言われる病気だったが、それでも秋のスプリンターズSで2着となった。しかし、続く3連覇をめざしたマイルチャンピオンシップは8着。聖剣は折れて力尽き、ついにターフを去ることになった。(吉沢譲治)
◆レース詳細
2004年11月21日
第21回 マイルCS(GI) 京都/芝右 1600m/天候:晴/ダ:良
1着 デュランダル 牡5 57 池添謙一
2着 ダンスインザムード 牝3 54 C.ルメール
3着 テレグノシス 牡5 57 横山典弘
◆競走馬のプロフィール
デュランダル(牡5)
父:サンデーサイレンス
母:サワヤカプリンセス
騎 手:池添謙一
調教師:坂口正大(栗東)
馬 主:吉田照哉
生産牧場:社台ファーム
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