エスポワールシチー
◆ダート界で不動の地位を築いた「横綱」 エスポワールシチーの母系を過去にたどると、明治36年(1903年)に輸入したチップトップという牝馬に行きつく。子孫が繁栄し、1世紀を経た今も活躍馬を出し続けている在来牝系としては、日本最古と言っていい。
在来牝系とは、日本に古くから伝わる母系血統のことである。大正、戦前の昭和、さらに戦争の混乱期をくぐりぬけ、チップトップの子孫はたくましく生き残った。クラシックホースはアサデンコウ(日本ダービー)、メリーナイス(日本ダービー)、ヒロイチ(オークス)らが出ている。
しかし、在来牝系の2大派閥「小岩井牝系」「下総御料牝系」に比べると地味で、地方競馬に大物が多かった。ダートの力強さを伝えるのが、チップトップ系の特長である。近年、それを再認識させたのが、平成元年(1989年)、牡馬をなぎ倒して南関東公営の三冠馬に輝いた名牝ロジータだった。さらに20年後、再びチップトップ系からダートの大物が誕生する。エスポワールシチーだ。
先ほど書いたヒロイチ。この昭和30年(1955年)のオークスを勝った名牝を、中興の祖として発展した支流で、近親にはゴールドシチー(最優秀2歳牡馬)など「シチー」の名のつく活躍馬が多い。
父のゴールドアリュールはダート界を席捲中の種牡馬。母の父ブライアンズタイムもそれ以前のダート界を席捲した種牡馬だ。加えて母系がチップトップ系とあれば、ダートの申し子が生まれても不思議はなかった。
当初は芝で走り、デビュー戦が3着、2戦目が2着。6戦目にようやく勝ち上がったものの、続く昇級戦は7着に敗れた。これを機にダートを使ってみると、2着に7馬身の大楽勝。勝ちタイムは上のクラスのオープン馬が出す勝ちタイムと、さほど変わらぬ優秀なものだった。
まだ下級馬にすぎなかったエスポワールシチーが、初のダートでいきなりこの勝ちタイムを出したのである。その後、ダート界の横綱として不動の地位を築く素質の片鱗を、ここで早くも見せている。確かにクラスが上がっても、壁が立ちはだかるどころか楽勝の連続。準オープン戦を5馬身差で勝つと、初のオープン戦も楽に押し切って勝利した。
年が明けて4歳の1月。初の重賞挑戦となる平安Sでクビ差2着に負け、5連勝はならなかったが、将来に向けて収穫のある内容だった。次走、力試しでGIのフェブラリーSに出ると、歴戦のつわものを相手に4着に健闘。陣営はエスポワールシチーが、ただならぬ能力の持ち主である手応えを感じた。
そのとおり続く3月のマーチSで初重賞勝ち。そこから破竹の快進撃が始まる。中央競馬と地方競馬の交流GI、かしわ記念、南部杯を連続撃破。たくましく成長したエスポワールシチーは中央競馬に戻り、GIのジャパンCダートに出走。早めに先頭に立つと最後は後続を突き放し、堂々の横綱相撲でGIを手にした。
明けて5歳になって迎えたフェブラリーS。前年は4着に敗れたが、あのときとは充実度が違う。逃げたローレルゲレイロを最後の直線で交わすと一気に加速し、2馬身差の楽勝で重賞5連勝を飾った。
立ちはだかる敵を次々と撃破し、不動の横綱の地位を築いたエスポワールシチー。だが、この5連勝は“綱取り物語”の前半部分にすぎなかった。その後、横綱のさらなる快進撃が始まるのである。(吉沢譲治)
◆レース詳細
2010年2月21日
第27回 フェブラリーS(GI) 東京/ダ左 1600m/天候:晴/ダ:良
1着 エスポワールシチー 牡5 57 佐藤哲三
2着 テスタマッタ 牡4 57 岩田康誠
3着 サクセスブロッケン 牡5 57 内田博幸
◆競走馬のプロフィール
エスポワールシチー(牡5)
父:ゴールドアリュール
母:エミネントシチー
騎 手:佐藤哲三
調教師:安達昭夫(栗東)
馬 主:友駿ホースクラブ
生産牧場:幾千世牧場
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